家を建てる上で、建物本体にかかるお金は大きく3つに分けられます。
①本体建築費用:家本体を建てるための資金で全体の70%をしめる
②付帯工事費用:建物本体以外にかかるお金で全体の20%をしめる。家の設備や地盤調査、水道工事などを含む。
③諸経費:契約・保険・ローンにかかる手数料などで全体の10%をしめる。引っ越し費など建設後の費用も含む。
それでは、それぞれの費用の特徴を確認してみましょう。
本体建築費用
本体工事の戸建ては本体2,000万円~2,500万円程度が目安です。実際は家のグレードや大きさ、構造、施工を担当する業者などによって異なります。
・仮設工事:敷地の囲いや建築中のメッシュシート、足場、廃材処分費など(60~70万円)
・基礎工事:基礎工事、土間工事(130~170万円)
・木工事:木材や大工工賃など(600~750万円)
・屋根・板金工事:屋根の施工費など(60~75万円)
・外装工事:外壁施工費など(150~200万円)
・塗装工事:外部、内部塗装工費(40~60万円)
・タイル工事:外部、内部のタイル貼り工事(100~125万円)
・外部建具工事:玄関ドア、サッシ費用など(200~250万円
・内部建具工事:内部の建具工事費(100~125万円)
・内装工事:クロス、Pタイル、クッションフロア工事費など(60~75万円)
・雑工事:防蟻処理費・造作工事など(20~25万円)
・住宅設備工事:ユニットバス、キッチンなど住宅設備費(200~250万円)
・電気工事:電気配線工事費(60~75万円)
・ガス工事:ガス配管、給油設備費(40~50万円)
・給排水衛生工事:水道配管、設備取り着け費(100~125万円)
・諸経費等:事務手数料など(100~125万円)
本体工事費は、建物本体にかかる費用です。一般的には、家づくり全体の費用のうち約7割を占めています。坪単価であらわすときには、この本体建築費用をもとに算出されることが多いでしょう。本体建設工事の項目の多さをみると、家が建つまでには多くの工事関係者がかかわることがわかります。
付帯工事費用
・既存建築物解体工事:建て替えの場合などで古い建物を解体する工事費(100~120万円)
・水道・電気・ガス引き込み工事(30~60万円)
・地盤改良工事:地盤調査によって改良工事が必要なとき工事費(60~80万円)
・照明・カーテン工事:照明器具費用、カーテン取り着け費用(50~70万円)
・冷暖房工事:エアコンや暖房設備の工事費用(30~50万円)
・外構工事:カーポートや駐車スペース、アプローチの土間工事、塀工事費用など(50~200万円)
・造園工事:植栽にかかる工事費用など(15~50万円)
付帯工事費用は、主に建物本体以外にかかる費用です。家づくり全体の費用の約2割が目安になります。付帯工事費はすべて項目が必要になるわけではありません。地盤改良工事がない場合や解体工事がない場合もあります。条件によって変動します。
諸経費
・印紙代:工事請負契約に必要な印紙(1~3万円)
・建築確認申請・検査料:建築確認申請手数料、完了検査手数料など(10~20万円)
・登記費用:建築表示登記、所有権保存登記、抵当権設定登記など(25~30万円)
・住宅ローン手数料・保証料:住宅ローン事務手数料・保証料など(60~70万円)
・つなぎ融資費用:つなぎ融資を利用するときの事務手数料、利息費用(10~15万円)
・火災保険料:建物完成後に加入する火災保険料(25~30万円)
・仮住まい費用:仮住まい費用の家賃代、家財の預かり倉庫代など(30~50万円)
・引っ越し費用:仮住まい場所への引っ越し、建物完成後の引っ越し費用(25~30万円)
・祭事費用:地鎮祭、上棟祭のお布施代など(2~20万円)
諸経費は、主に事務的な部分にかかる費用です。家づくり全体の費用の約1割が目安です。割合として少ない印象がありますが、3,000万円が全体の費用の場合は300万円が諸経費分となります。一般的には坪単価には含まれていない費用ですのでしっかりと目安を把握しておきましょう。
土地代以外にかかるお金
・土地購入の仲介手数料:土地の売買契約にかかる仲介手数料、不動産会社が仲介する場合(上限は土地価格×3%+6万円)+消費税10%
・印紙税:売買契約書に必要な収入印紙(5,000円~3万円 ※軽減税率が定期用されています)
・登録免許税:土地の登記変更に必要な税金(土地の固定資産価格額をベースに算出。司法書士への報酬は5~8万円程度)
土地の仲介手数料は、不同線会社を仲介して土地を購入する場合のみ必要になります。また、売買契約には、収入印紙が必要となり、2022年令和4年3月31日までは軽減税率が適用されています。
お金を使うタイミングと流れ
土地探し
住宅会社選び、土地購入 ←土地代金精算
プラン打ち合わせ・住宅ローン検討
プラン決定・契約・ローン審査 ←契約金
着工←着工金
上棟←上棟金
完成前検査
完成・引き渡し・登記と続き←最終金
定期点検・アフターメンテナンス
家づくりにかかるお金は数回に分けて支払います。住宅ローンの手続きにも大きくかかわる部分のため、しっかりと事前に把握しておくことが大切です。一般的に大きな費用の支払いは、土地購入を含む場合は5回、土地購入が不要の場合は4回に分けて行います。その他、諸経費は支払いのタイミングがそれぞれ分かれています。なお土地購入の必要がない方は、建物に必要なお金を支払うタイミングが必要です。
建物に必要なお金を支払うタイミング
建物にかかるお金は、工事の進捗に沿って、数回に分けて支払うものが一般的です。ここからは建物にかかるお金の支払いについて伝えます。
契約時:契約金
契約金額の1/4または10%程度
諸費用:契約の印紙代、確認申請手数料、代願料、仮住まい費用、引っ越し代
基本的には、工事請負契約に記載された金額の1/4を契約時に支払います。しかし、契約のタイミングでは、住宅ローンの融資が実行されていないケースも多いため、記載金額の10%程度など頭金という意味合いの金額になることもあります。諸経費分として契約印紙代や確認申請書類の作成費、手数料などがありますが、住宅会社が建て替えする事が多いでしょう。仮住まいや引っ越し代は個人で支払うケースも想定しておきます。
着工時:着工金
・契約金額の1/4または30%程度
・緒費用:地鎮祭
着工のタイミングで契約金の1/4または30%程度の支払いがあります
この時期には住宅ローンの審査も完了していますが、実行が引き渡し後の金融機関も多いため自己資金で賄えないときはつなぎ融資を利用して支払います。
また、着工前に地鎮祭を神社で行うときはお布施代がかかります。(地域によってはお初穂料ともいいます)一般液には地鎮祭のときに近隣へのあいさつを済ませますので、訪問時の粗品程度の手土産も準備してください。
上棟時:上棟金
・契約金額の1/4または30%程度
・諸経費:上棟祭、大工さんへのご祝儀
上棟時のタイミングでさらに1/4または30%程度を支払います。現場の進行具合は初期段階なのですが、支払う金額では契約額の約7割に相当します。この段階だけでみると先払いをしている感じもありますが、この後は引き渡しまで支払いのタイミングがありません。「住宅会社は工事を進めていく上で、咲きに材料を仕入れる資金が必要になる」ことを考えると理解出来ます。
完成・引き渡し時:最終金
・契約金額の1/4または残金
・緒費用:住宅ローン手数料、引っ越し、家具・家電購入費、登記費用、火災保険料など
引き渡し時は、本体工事・付帯工事・緒費用(立て替え分も含む)の最終清算です。住宅ローン利用なら融資実行になりますので、借入金から工事関係の費用を支払います。緒費用も様々な支払いがありますので、どこにどれくらい支払うことになるか事前に確認しておくことが大切です。
住宅ローンの組み方:頭金はいくらが理想?
家造りの資金を考えるときに住宅ローンの存在は欠かせません。実際に新しい家を購入するときには78.6%の方が住宅ローンを組んでいます。
家づくりの資金を準備する方法
家づくりに必要な資金を準備する方法は大きく分けて「住宅ローン」「自己資金」「親族の援助」の3つなります。
住宅ローン
現金で資金を準備できないときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。もちろん、自己資金と併用してもかまいません。住宅ローンは、金融機関によって事務手数料や金利、保証料などが異なります。複数の金融機関を比較して返済シミュレーションをしてもらい、条件のよいところを選びましょう。無理をせずに毎月支払える住宅ローンを組むコツを考えて住宅ローンを選択しましょう。
自己資金
貯金や退職金、保険の満期などのまとまった資金が準備でき、住宅ローンを利用しない場合、利息を支払う必要はなくなります。ただし、老後の生活費としてある程度の蓄えも必要です。住宅資金としてはほとんどを使ってしまうことがないように、バランスを考える事が大切です。自己資金はどの程度あればよいのかは、ファイナンシャルプランナーと相談をおすすめします。
親戚の援助
親族から資金の援助を受ける方も少なくありません。援助は金銭の場合もありますが、土地購入の資金や土地を譲渡される場合もあります。家づくりには建物の費用はもちろん、土地購入費も発生します。土地代だけでも負担が軽くなれば、その分建物に予算を配分できますので援助があると資金にゆとりが生まれます。
住宅ローンの選び方
家を建てるときに住宅ローンを選ぶ方法、失敗しないコツを見ていきましょう。
住宅ローンを選ぶときに一番大切なのはメガバンクや金融機関のネームバリューに拘らないことです。地方の信用金庫や地方銀行を切り捨てず、金利と金利タイプから月々の返済を具体的に比較する事を忘れないようにしましょう。
金利・金利タイプとは
金利とは、ローンで借り入れした金額に対する利子の割合を意味します。金利には、「変動金利型」「固定金利型」「固定金利選択型」3つのタイプがあります。
・変動金利型:半年ごとに金利が見直しされる(同時期の固定型金利より金利が低く設定される。一般的に景気の良いときには金利が上がり、景気が悪いときには下がる)
・固定金利型:善返済期間において金利が固定されている(同時期の変動型金利より金利が高く設定される。景気に左右されないが、低金利の時期にも返済額は少なくならない。段階的に金利を上げるプランもある)
・固定金利選択型:土地の登記変更に必要な税金(同時期の固定型金利より金利が低く設定される。一定の期間は固定金利型となり、その後はまた、固定機関を設定するか変動型に移行するかを選ぶことができるものが多い)
銀行や金利期間では、それぞれが金利を決めて資金を運用しています。各銀行・金融機関のHPには、金利と金利タイプをシュミレーションすることができるものも多くあります。なお2020年は引き続き、歴史的な低金利が継続しています。民間金融機関で住宅ローンを借入した多くの方が「変動金利型」を選んでおり、全国で52.8%占めています。